東急

MotokiYamada

雇用をつくることも、街をつくること。

山田 基樹国際事業部 都市開発部 事業企画課
2008年新卒入社 経済学部 経済学科 卒/経済学研究科 修了
※所属・業務内容は取材当時のものです。

オーストラリア第4の都市・パースから、北西に約50km。ヤンチェップ地区に、山田が育てた農業ビジネスがある。

約40年前の土地取得に端を発し、東急株式会社が宅地造成や分譲を手がけてきたヤンチェップ地区。新たなまちづくりによって、さらに活性化させようという機運が高まったのは2012年のこと。総面積約7000ha、定住者15万人・就業者5万5千人に及ぶ一大プロジェクトだ。

山田は入社後まもなく、「東急株式会社はもう一度、国際事業に力を入れるべきだ」と考えるようになった。「都市開発のノウハウを生かすなら、これからは日本より海外だ」。だからというわけではないが、東急株式会社は国際事業部を設置。メンバーの公募に山田は手を挙げ、さらにはパースに駐在することに。ちなみに山田の海外経験は、学生時代のショートステイと、2泊3日の台湾旅行だけ。

ヤンチェップの活性化に向けた取り組みのひとつに、企業の誘致があった。悩みのタネは、パースから約50kmも離れたその立地。パースを中心とした都市圏の最北端であり、わざわざ移転したがる企業は少ない。「どうしたものか」。地図を手に唸っていた山田。ふと、地図を逆さにしてみた。「都市圏の端ということはつまり、郊外にとって『いちばん近くにある都市』ってことか」。ぴんと来た。ヤンチェップを、郊外で盛んな農業と、都市部との接点にしよう。1898年にエベネザー・ハワードが提唱し、東急株式会社のまちづくりにも大きく影響を与えた田園都市論。そのベースとなっている「都市と農村の結婚」という考え方にも重なる。

山田はまず、ヤンチェップの歴史を紐解いた。すると、かつて養蜂が営まれていたことがわかった。今もヤンチェップの周辺にはジャラという木が生え、そこから採れる蜂蜜は世界的な評価も高い。なのに、肝心の養蜂家を育てる仕組みに乏しい。ではまず養蜂学校をつくり、産業化へつなげるのはどうだろう。当時、産学連携を模索していた大学に声をかけて養蜂の研究所を誘致し、協力して養蜂学校の開校を目指すことにした。

そして畜産だ。もともとヤンチェップでは、宅地造成の余剰地を使って肉牛が飼育されていた。だが、事業として日の目を見なかったことから、かつて1000頭いた牛は100頭にまで減少。雑種化も進んでいる。その牛たちを、価値の高い別品種とそっくり入れ替えよう。山田は農業ビジネス関連の法律や会計、収支構造から、飼料の成分まですべてを一から学び、それまでは客として訪れていた地元いちばんの精肉店に「この肉を使ってみないか」と持ちかけた。「農業ビジネスに関わったことのある社員は、東急株式会社でひと握りだと思う」。そこまでしたのは、どうにかして牧畜事業を黒字化し、軌道に乗せたいという一心から。事業はうまくいってこそ雇用を生み、街を潤し、その地域を語る上で外せない看板となる。

迎えた2018年。誘致された養蜂研究所のオープン。ヤンチェップには、州政府の大臣たちと握手を交わす東急株式会社社長の姿があった。長年、この地とともに歩んできた東急株式会社にとっても、大きな意義のあるプロジェクトとなったのだ。「まだまだ、これから。でも、駐在した5年間で街は確実に活気づいたと思う」。建物を建てることだけが、まちづくりではない。事業を生み出し、そのことで雇用を創出し、地域のために街を活性化していく。それを海の向こうで成し遂げるのも、東急株式会社の街づくりだ。

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