東急電鉄

MasayoshiNakagawa

駅前の元気は、
その街の元気だ。

中川 真義都市創造本部 運営事業部 営業二部 事業推進課
2014年新卒入社 経済学部 経済学科 卒

中川は、駅に思い入れがある。

実家の近くに小さな駅があった。1時間に3本ほどしか停まらない、単線ののんびりした駅だ。高校生のころ、そこが無人化された。すると、あたりの雰囲気が一変した。駅としての機能は何ひとつ失われていないのに、風景がやけに寂しげに見えた。駅はその街の表情を決める「顔」。そのことを思い知った。

その中川が、とある駅前の改修工事にプロジェクトマネージャーとして関わることになった。そこには3棟の商業施設があったが、うち1棟の老朽化が進んでいる。集客も思わしくない。シンプルに考えれば問題の1棟だけを建て替えればいい。しかし、果たしてそれが根本的な解決になるのかどうか。いや、思い切って3棟すべてをリニューアルしよう。それぞれを行き来しながらショッピングが楽しめるよう動線を引き直し、駅前を大きく活気づかせよう。それが東急電鉄の決断だった。ということは、3棟に入るテナントの多くが、一時的にせよ退去することになる。しばらくの間、駅前の灯が文字通り消え、住民の暮らしにも少なからず影響を及ぼす。それでもやるからには、がまんした甲斐があったと住民が喜ぶものにしなければ。

プロジェクトマネージャーの仕事は決断の連続だ。たとえば内装の素材やサイン案内といったハード面のことから、新たにどんなテナントを誘致するかという運営上のことも。次々に持ち込まれる選択に、20代半ばの中川が的確な判断を下さなければならない。せっかくベストな答えにたどり着けても、何らかの理由でそれを捨てざるを得ず、第二、第三の選択を迫られることも多い。せっかくのアイデアが法令で認められなかったり、質感に惚れ込んで選んだタイルが、濡れると滑りやすかったり。

そんな時の中川の策は、「とにかく粘る」こと。設計事務所に電話をかけ、アイデアのよさを活かしたまま法令をクリアする方法を1時間以上も話し込む。タイルのショールームを駆け回り、めぼしいサンプルをかき集めると片っ端から水をかけ、滑らないか踏んでみる。簡単にあきらめたりはしない。すべてが思い通りとはいかなくても、1ミリでも理想に近づけるために粘りまくる。それが、街の顔を手がける者の、住民に対する絶対の責任。

そんな中川でも心が折れかけたのがテナント集めだ。その駅の乗降客数は、各路線あわせて20万人超。この規模があればすぐに埋まるだろうと予想したのだが、結果は大外れ。それまでの客足がいまひとつだったせいで、次から次へと断られた。テナントに納得してもらうことしか解決策はないため、それこそ粘ること以外に道はない。熱意もロジックもたっぷり込めたプレゼンを繰り返しながら、辛抱強く候補リストに当たっていく。ようやく魅力的なテナントがそろった時、中川の交渉数は100件を軽く超えていた。

ひとつひとつ壁を乗り越えながら、中川は開業というクライマックスに向けてひた走っている。けれど、いま中川が生み出そうとしているのはあくまでも「器」だ。「魂は、開業したあとに入るもの」。これは、尊敬している部署の先輩の言葉。人が集い、過ごす時間を心から楽しみ、にぎわいが生まれてこそゴール。中川が手がけた「街の顔づくり」の成否はきっと、そこに暮らす人の顔に出る。

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